上手な税理士(事務所)の活用法

1. 得意分野を知っておく

医者は免許を持っていても、専門分野以外は原則として関わらないし、看板を掲げることはありません。特殊な病気には専門医を紹介します。これに対し税理士はすべての税務に関わることができます。所得税や法人税の案件は数多くこなすので比較的問題は無いかもしれませんが、相続税などは滅多に関わらない税理士もいます。従って、難しい事例は専門の税理士に任せた方が間違いは少ないはずです。海外取引に強い税理士、融資に強い税理士、保険に詳しい税理士、医療法人や飲食店など特定の業種に強い税理士もいます(数社の経験で強いと宣言している所もあります)。また、特に強い分野はないがフットワークの軽い税理士もいます。顧問税理士の得意な分野を知っておくことは大切です。

 

2. 積極的に要求・質問をすること

税理士事務所の仕事は多岐にわたり、忙しいものです。したがって、一般のサービス業のようにお客様に目が向いていないことがあります。しかし、職員は営業職のような駆け引きは全くなく要求されると素直に応える者が普通です。ただし、月単位で仕事を考えがちですので、急ぎの要望は期限を示しておかないと翌月の訪問時に、となりかねません。会社に関する多くのことは税理士に質問することで解決できます。他の専門家の窓口となってくれるからです。ところで試算表などの帳票もエクセルやPDFファイルで要求すれば提供できる場合は多いのですが、要求されることはほとんどありません。積極的に要求・質問しないと動かない気質、だから、遠慮せずに要求すべきです。

 

3. セカンド・オピニオンとして活用する

セカンド・オピニオンを嫌う税理士は多いです。しかし、1人の顧問税理士だけで良いのでしょうか。スポット契約で申告内容のチェックや決算書分析など依頼するのも、別の角度から顧問税理士の仕事を評価でき、決して悪いことではないと思われます。この流れはやがて普通のこととなるでしょう。

 

4. 担当者との相性が大切

担当者とどうしてもウマが合わない場合もあります。その時は、変更を要求しましょう。お互い苦手意識が生じれば、十分コミュニケーションが取られず仕事が遅くなったり勝手に処理されたりしてトラブルが発生する可能性が高くなるからです。

 

5. 経営のコーチ、サポーター役になってもらう

税理士は、税務や会計の専門家であっても経営全般の専門家ではないのです。新たに事業を始めた場合は指示を仰ぐことが多くても、その後、業界のことは経営者の方が税理士よりも数段詳しくなるものです。スポーツに例えれば、スター選手は経営者です、税理士にはコーチ、トレーナー、メンターあるいはサポーターになって事業の発展を手伝ってもらいましょう。継続したデータ収集や地道な管理業務は得意とするからです。また、関与先の企業が成長することは税理士にとっても嬉しいものです。

 

6. 他業種の成功や失敗事例を学ぶ

同業者の情報を詳しく知りたいと多くの経営者は言います。しかし、同じ地域の同業者はライバル同士。たとえ経営者同士が親友であっても守秘義務の関係から詳しくは語れないものです。だから、経営者が知り得る情報より優れた情報は手に入らないのです。それよりは異業種の事例を求めましょう。差し障りのない範囲で詳しく提供してもらえる可能性があります。当然、そのままの形では自社の経営にはまったく役に立ちません。しかし、応用して用いればヒントの山として活用することが出来ます。

 

7. 税理士の持っているネットワークを活用する

優秀な税理士は、他の士業との提携などに力を入れているものです。従って専門分野で無くても大抵の会社に関する問題は解決の手がかりを得られます。これを活用しない手はないでしょう。反対に専門外の相談から逃げようとする所はレベルが低いです。  関与先企業同士の交流は、税理士の考え方次第で異なり、積極的に支援するところもあれば、無用なトラブルを避けるため最小限に行うなどと様々です。

 

8. 次年度経営計画で財務部分の作成の支援およびチェックを求める

翌期の経営計画を作成する会社もあります。ただし、理念・方針は立派であっても計数的な部分は損益計算書中心で弱いことが多いです。だから、貸借対照表やキャッシュフロー計算書は税理士事務所のスタッフと協同で作成するのが良いでしょう。ただし、全部を税理士側に求めると、形は立派だが実行されないものになる可能性があります。

 

9. 金融機関の融資をサポートしてもらう

金融機関との交渉も税理士が間に入ると早く進むことがあります。特に手続きが面倒と思われている政府系金融機関も、慣れた所ならばうまくいくことが多いようです。依頼があれば金融機関の面接に税理士が同行するところもあります。相談してみましょう。

         

10.勘定科目設定などの打合せは経営者が立ち会う

経理担当者と税理士に会計を全て任せると、一般的な簿記上の勘定科目を設定します。これはこれで正しいのですが、外部公表のための上場会社の報告書がベースとなっていて、経営者が会社の経営内容を詳細に理解するのに難しいかも知れません。また、低料金の記帳代行業では経費科目数を制限し、効率を上げていると聞きます。ただ利益を計算するだけなら構いませんが、「雑費」が人件費の次に多いような損益計算書は実際あまり役に立ちません。ほんらい収入や経費科目は、個々の会社で経営の判断に役立つような設定が望ましいと思います。現在、多くの財務会計ソフトでは、勘定科目の変更・追加、補助科目の設定、部門設定、摘要の検索機能など、以前と比べ数段に使い勝手が良くなっています。例えば、月々の報告書では分かりやすいように区別した勘定科目を用いて表示させ、決算書上では一般的な名称にまとめて(合算)表示が可能です。また、摘要に工事NOコードを振ることにより検索で集計させ工事台帳代わりにするなど、少しの工夫と手間で多くの情報を引き出すことが可能です。多くの会社では本格的な管理会計の導入を考えていないが、こうした手軽に出来ることは導入したいはずです。しかし、出来るのにやれない理由は、(1) 経営者が要求しないから、(2) 経理や事務所職員が作業の手間が増えるのを嫌うため、(3) 今まで問題なくやってきたので変える必要は少ないと考えるから、(4) 機能アップに不勉強・無関心のため などが上げられます。

 関与が始まる早い時期に必ず打合せを行ってください。このとき、何を詳しく知りたいかはっきりと話してください。そうすると目標管理可能な経費と管理不可能な経費が合算されることが無くなります。どこに問題があるのかも早く分かるようになります。

 

【科目設定のポイント】

① 一般的には同じ勘定科目に分類されるものでも会社にとって全く性質の違うものは なるべく区分した方が望ましい。ただし金額がわずかであれば例外とする。

② まれにしか発生しない経費でも金額が多いものは区別する。

③ 業界固有の経費は当然設定する

④ なるべく分かりやすい名称を付ける。

⑤ 補助科目は主要なものと、その他で区分し、その他は摘要を入力する